手術室看護師の年収相場と特徴
まずは、手術室看護師の年収の全体像を押さえておきましょう。
- 手術室看護師の平均年収は、看護師全体の平均と同程度〜やや高めになることが多い
- 月給ベースでは、病棟より基本給が少し高めに設定されるケースもある
- 一方で、夜勤が少ない・ない職場では、夜勤手当分だけ病棟よりトータル年収が低くなりやすい
つまり、「データ上の平均値」で見ると決して極端に低いわけではないものの、本人の体感としては「責任の重さに対して見合っていない」と感じやすいという構造があります。
給料が低く感じやすい主な理由
- 夜勤がない場合、夜勤手当で稼げない
- オンコールはあるのに、オンコール手当が少額で割に合わない
- 夜間対応はその時対応できる人がという制度の場合、夜間手当自体ない
- 精神的負担と集中力の高さに見合う「危険手当」のようなものがない
- 年次が上がっても基本給の伸びは限定的で、「頑張っても大きくは変わらない」と感じやすい
このギャップが、「手術室看護師=給料が低い」という不満につながりがちです。
「自分の給料は低いのか?」を判断する3つの軸
いきなり転職を考える前に、まずは自分の給料が本当に低いのかを客観的にチェックしましょう。
1.年収ベースで比較する
月給だけを見て判断すると、手当や賞与の差を見落としがちです。
以下のように整理してみてください。
- 年間の総支給額(基本給+各種手当+賞与)
- 自分の年齢・経験年数と同じ層の平均年収
- 同じ地域・同規模の病院の求人情報に記載されている年収レンジ
これを比較すると、「職場自体の水準が低い」のか、「手術室という働き方の問題」なのかが見えやすくなります。
2.夜勤・オンコールの有無と手当の妥当性
- 夜勤回数(または完全日勤か)
- 夜勤1回あたりの手当
- オンコール1回あたり、出動1回あたりの手当
夜勤があるかどうかで、年間40〜60万円程度の差が出ることも珍しくありません。
「病棟の友人と比べて低い」と感じる場合、夜勤手当の有無が主因になっているケースがかなり多いです。
3.仕事内容とのバランス
- 精神的負担(プレッシャー、人間関係)
- 身体的負担(長時間立ちっぱなし、オンコール)
- キャリアへのプラス(専門性・将来へのつながり)
「同じ年収でも、この負担なら割に合う」「この負担でこの年収は厳しい」と、自分の価値観でバランスを判断することが大切です。
給料アップの現実的な方法5選
ここからは、手術室看護師が「給料を上げたい」と思ったときに取れる具体的な手段を整理してみましょう。
1.高給与の病院・施設へ転職する
一番シンプルで効果が大きいのは、給与水準の高い職場への転職です。
狙いやすいのは、
- 大都市圏の急性期病院
- 民間の大規模病院(人材確保のために給与を高めに設定しているところ)
- 手術件数が多く、手術室が病院の「稼ぎ頭」になっている施設
求人を見るときは、必ず以下をチェックしましょう。
- モデル年収(例:経験5年で年収◯◯万円)
- 賞与実績(何ヶ月分か)
- 夜勤・オンコール手当の金額と回数
- 固定残業代の有無(込みになっている場合は要注意)
「今と同じ年収」でも、夜勤回数が少なかったり、残業が少なくなったりすれば、時間単価は上がります。
逆に「年収だけ高く見えるが、実はかなりの長時間労働」という求人もあるので、トータルでのバランスを見ることが重要です。
2.夜勤・オンコール体制のある手術室を選ぶ
今が完全日勤のオペ室なら、夜勤・オンコールありの手術室に移るだけで年収アップが見込める可能性があります。
- 夜勤手当で月数万円〜、年40〜60万プラスになるイメージ
- オンコールの出動回数が多ければ、その分手当が積み上がる
もちろん、体力的負担や生活リズムの乱れをどう受け止めるかは人それぞれですが、「今より年収を上げたいが、手術室の仕事自体は続けたい」という人には現実的な選択肢です。
夜間のオンコール対応はオンコールの当番に手当てがつくのか実働に対して支払われるのかの確認も大事!実働がないと手当が出ないという状況だと、メンタル的に休めない分きつかったりします。
3.高単価領域にキャリアチェンジする
手術室経験は、以下のような高収入になりやすい領域で評価されやすいです。
- 美容外科・美容皮膚科クリニック
- 自費診療で利益率が高く、オペ経験者は重宝されやすい
- 年収500〜600万円台の求人も比較的多い
- 医療機器メーカー(クリニカルスペシャリスト)
- 手術機器の導入支援、医師・看護師への操作説明など
- 年収500〜700万円クラスも狙えるケースがある
「現場のオペから一歩引いて、でも手術の知識を活かしたい」という人にとって、これらは年収面でもキャリア面でも魅力的な選択肢になります。
どちらも営業職が強い職種なので、自分には営業が向いているという人にはおすすめです。
4.資格・役職で「手当」を積み増す
すぐに大きく変えるというより、中長期的な戦略として
- 手術看護認定看護師
- 周術期管理チーム看護師
- 主任・師長などの管理職
などを目指すことで、資格手当・役職手当による上乗せが期待できます。
ここで重要なのは、
- 「資格を取れば爆発的に年収が上がる」というより、
- 「責任に見合ったプラスαがつく+キャリアの選択肢が広がる」
くらいのイメージを持っておくことです。
年収アップと同時に、「この先10年・20年どう働くか」が決まっている人向けの手段です。
給料に多少不満はあるけど、人間関係がとてもよく働きやすいと言った場合も自身の成長によるキャリアアップを選択するのが現実的だと思います。
転職した先で同じだけの人間関係が築けるか分かりませんし、看護業界は「人間関係の良さ=働きやすい環境」だと思います。
5.転職時に「条件交渉」をする
特に美容クリニックや小〜中規模の民間病院、企業系のポジションでは、採用時に条件交渉できるケースがあります。
ポイントは
- 自分の実績を「数字」で示す
- 例:オペ室経験◯年、年間◯◯件の手術に従事、◯◯科がメイン
- 前職の年収を明確に伝えたうえで、「それ以上」を希望する
- 極端な金額を出すのではなく、「相場+少し上」を狙う
条件交渉は言いづらいかもしれませんが、最初の提示をそのまま飲むかどうかで、数十万円単位の差がつくこともある部分です。
年収以外にも、労働条件などが交渉できる場合も。転職は自分に合った働き方をカスタマイズするチャンスとも言えます。
「給料のために続けるか」「環境ごと変えるか」の判断軸
給料アップを考えるとき、大事なのは「お金」と「心身の健康」のバランスです。
次のような問いを、自分に投げかけてみてください。
- 今の仕事のどの部分が最もつらいのか(オンコール?人間関係?プレッシャー?)
- そのつらさは、「給料さえ上がれば許容できる」のか
- それとも、「給料が上がっても続けたくないレベル」のものなのか
もし後者なら、年収アップよりも「職場環境の改善」「働き方そのものの変更」を優先すべき段階かもしれません。
まとめ:手術室経験は「給料アップの武器」になる
手術室看護師の給料は、平均値で見れば決して低くはありませんが、「負担とのバランス」「他部署との比較」で不満が生まれやすい働き方です。
ただし、視点を変えれば
- 急性期スキル
- 医師とのコミュニケーション力
- 医療機器への理解
- チーム医療の経験
といった強みは、年収アップにつながる転職やキャリアチェンジの場で大きな武器になります。
「今の給料が低い」と感じたら、まずは冷静に現状と相場を比較し、次に「自分はどこまで何を許容できるのか」を明確にしたうえで、
- 高給与のオペ室への転職
- 美容クリニックやメーカーなど高単価領域への移行
- 資格・役職での上乗せ
といった選択肢を組み合わせて、自分なりの「納得できる給料と働き方」のバランスを探していきましょう。